有料

邦人、韓国人ら83人輸送 空自機、未明に羽田へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 防衛省は20日、イスラエルからの邦人退避のため派遣した航空自衛隊のKC767空中給油輸送機が日本時間の同日未明、邦人や韓国人ら計83人を、イスラエルのテルアビブから隣国ヨルダンまで運んだと明らかにした。全員がこの機体で21日未明に羽田空港に到着する見通しだ。
 防衛省は、空自のKC7671機とC2輸送機2機をヨルダンとアフリカ東部ジブチに派遣。2機のC2は今後も輸送活動があることに備え、両国で待機を続ける。
 防衛省によると、83人は日本人60人と外国籍の家族4人、韓国人18人と外国籍の家族1人。
 イスラエルの空港では19日夕、日本政府が用意したカウンターに希望者が続々と集まった。5歳と3歳の息子2人と退避するという女性(38)は「小さな子どもを抱えて不安な中、乗り換えをせずに日本へ帰れるのは非常にありがたい」と話した。
 木原稔防衛相は18日に上川陽子外相からの依頼を受け、自衛隊法84条の4の邦人輸送の規定に基づき、自衛隊部隊に輸送活動の実施を命令した。これを踏まえ、ヨルダンに入っていたKC767が83人を運んだ。実施命令を20日に公表したのは、自衛隊の活動や邦人の安全確保に影響があるためとしている。
 イスラエルからは民間機の運航も継続中。防衛省の茂木陽報道官は20日の記者会見で、自衛隊機による輸送実施の理由について「情勢が緊張度を増し、流動的になっていることを総合的に勘案した」と説明した。民間機が運航しているかどうかは、必ずしも活動の要件ではないとして「いかなる手段が適切かを判断して対応する」と強調した。
 自衛隊は今回の退避活動のため、空自に加え陸上自衛隊も入った約420人規模の統合任務部隊を編成した。茂木氏の説明によると、陸自はヨルダンの空港で邦人らの受け入れを支援し、ヨルダンの現地調整所で関係機関などと調整に当たった。
 イスラエルからはこれまでに、日本政府が手配したチャーター機や韓国軍の輸送機で邦人が退避してきた。