【カイロ共同=吉田昌樹】パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの境界にあるラファ検問所が21日に再開し、支援物資を積んだトラックがガザに入った。「ガザの状況は破滅的だ」。イスラエルの空爆や「完全封鎖」が続く中、悪化する人道危機に絶望感を深める市民は物資搬入に少しだけ息をつき「停戦の契機となってほしい」と悲痛な声を上げた。
ガザはイスラエルからの食料や燃料の搬入を遮断され、唯一の発電所も停止。飲料水や医薬品の不足は日を追うごとに深刻化している。
空爆で多くの建物が破壊され、避難者も続出している。
ガザ南部に避難中の無職ヒクマト・アミルさん(50)は共同通信の電話取材に「検問所の再開を聞いて少しほっとした」と漏らした。「状況は言葉にできないほどひどく、人々はこれ以上は耐えられない。検問所の再開が、戦闘停止の始まりとなることを希望している」と語った。
「物資を運ぶトラックは20台だけと聞いた。この惨状に十分ではない」。無職モエイン・ダバアさん(36)は検問所が常時開かれ、支援物資がさらに搬入されることを望んだ。「殺りくはもうたくさんだ」と戦闘終結も強く願った。
南部避難中の無職男性(44)は「イスラエルの封鎖は解除されず、戦闘は続いている。負傷者が多数いるが医薬品が全く足りない。食べ物や水、幼児用のミルクも必要だ」と訴え、支援物資の搬入継続を求めた。