【キーウ共同】ウクライナの環境保護・天然資源省のエブゲニー・フェドレンコ次官は23日までに共同通信のインタビューに応じ、6月に起きた南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所の巨大ダム決壊による損失が総額240億ドル(約3兆6千億円)に上る可能性を指摘した。また、ロシアによる2500件の環境破壊を、戦争犯罪として検察当局が捜査していると明らかにした。
フェドレンコ氏は侵攻によって全土で生じた土壌や大気、水質汚染など環境被害による損失額は現時点で560億ユーロ(約8兆9千億円)と試算。生態系への影響も深刻で、黒海やアゾフ海のイルカ類千頭が死に、渡り鳥が通常のルートを避けるようにして南下するようになったと説明した。
侵攻開始から1年で生じた温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)換算で1億2千万トンとされ、ベルギーの年間排出量と同水準。フェドレンコ氏は、復興の過程でも多くの排出が見込まれるとしてロシアの責任と強調した。2500件の環境破壊とは別に、動物の大量死など広範囲に深刻な損害を与える「エコサイド(生態系破壊)」を14件確認。南部ヘルソン州のロシア支配地域にある自然保護区「アスカニアノバ」や動植物が豊富な湿地帯は「消滅の可能性がある」と危機感を示した。
カホフカ水力発電所の決壊で構造物が流れ着き汚染されたウクライナ南部オデッサ州のビーチ=6月13日(ゲッティ=共同)
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南部ダム決壊 損失3.6兆円 ウクライナ ロ環境犯罪、2500件
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琉球新報朝刊
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