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ハマス、人質2人追加解放 ガザ侵攻にらみ駆け引き


ハマス、人質2人追加解放 ガザ侵攻にらみ駆け引き 23日、解放される85歳の女性。イスラム組織ハマスがビデオを公開した(AP=共同)
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 【エルサレム共同=吉田昌樹】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは23日、人質の民間人女性2人を追加で解放したと表明した。7日のイスラエル軍との戦闘開始後、解放された人質は計4人になった。軍が地上侵攻の構えを強める中、人質解放やガザへの人道物資搬入を巡り水面下で駆け引きが続いているもようだ。
 フランスのマクロン大統領は24日、イスラエルを訪れてネタニヤフ首相と会談。その後記者団に、テロとの戦いに容赦はいらないが、ルールは必要だと訴えた。民間人の被害拡大抑止や人質解放に向けた取り組みを要請したとみられる。
 世界保健機関(WHO)は即時停戦を要求。欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表も人道的観点から戦闘の一時中断を求める考えを示した。
 ガザへの空爆を強化するイスラエル軍は24日、400以上の標的を攻撃したと発表した。ガザ保健当局は24日、軍の攻撃による1日の死者が704人になったと表明。双方の死者はガザ側が5791人、イスラエル側は1400人以上で、計7100人以上になった。
 イスラエルメディアによると、新たに解放されたのはイスラエル国籍の79歳と85歳。ハマスはエジプトとカタールの仲介と説明した。解放された女性の1人は24日、イスラエル中部で記者会見し、ガザの地下トンネルに連れて行かれ「地獄を味わった」と振り返った。軍報道官は今回の解放前の23日、人質は少なくとも222人と発表した。
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは23日、50人の人質解放について協議が行われたが、ハマスがガザへの燃料搬入を要求する一方、イスラエル側は戦闘に利用されるとして認めず、交渉が滞っていると伝えた。ハマス前指導者のマシャル氏は英テレビのインタビューで、イスラエル軍がガザへの攻撃を減らせば、さらに人質の民間人を解放すると述べた。
 マクロン氏はヨルダン川西岸のラマラで、パレスチナ自治政府のアッバス議長とも会談した。ガザには23日、3日連続で人道支援物資が搬入された。
23日、解放される85歳の女性。イスラム組織ハマスがビデオを公開した(AP=共同)