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ガザ戦闘 米が中断要請 安保理拒否権から一転 人道危機が深刻


ガザ戦闘 米が中断要請 安保理拒否権から一転 人道危機が深刻 25日、イスラエル軍の空爆を受けたパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスの現場から遺体を運び出す当局者ら(ゲッティ=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク、エルサレム共同=稲葉俊之、吉田昌樹】ブリンケン米国務長官は24日、パレスチナ自治区ガザ情勢を協議する国連安全保障理事会の閣僚級会合で、イスラム組織ハマスと戦闘を続けるイスラエルに対し、人道目的の「一時的な戦闘中断」を検討すべきだと要請した。同国の「自衛権行使」を支持しつつ「市民の被害を最大限避ける措置を取らなければならない」と述べた。
 米国は、戦闘中断を求めた18日の安保理決議案に拒否権を行使していた。イスラエルの空爆や「完全封鎖」によりガザでは人道危機が深刻化しており、方針転換を表明した形。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は24日、ガザの燃料不足が深刻で、25日夜(日本時間26日未明)に活動停止に追い込まれる恐れがあると明らかにした。
 米国が21日に提示したイスラエル寄りの決議案は当初、停戦や戦闘中断に触れなかったが、他の理事国の要望で「一時的な戦闘中断」の文言を加えた。安保理は25日午後3時(日本時間26日午前4時)に決議案を採決にかける。
 イスラエル軍はガザ空爆を強化。ガザ保健当局は25日、1日の死者が750人を上回ったと明らかにした。双方の死者はガザ側が6546人、イスラエル側は1400人以上で、計7900人以上になった。
 ハマスの人質は約220人とされる。米ニュースサイトは24日、人質の解放交渉進展に向け、イスラエルがガザ地上侵攻を数日遅らせる意向を示していると報じた。侵攻時期には触れていない。中東メディアによると、解放を仲介するカタールのムハンマド首相兼外相は25日、交渉に進展があったと明らかにした。
 ガザはイスラエルに燃料や食料を遮断され、唯一の発電所も停止。エジプトとの境界にあるラファ検問所から21日以降、人道支援物資が搬入されたが、イスラエルはハマスが燃料を戦闘に使う可能性があるとして搬入を拒否している。
25日、イスラエル軍の空爆を受けたパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスの現場から遺体を運び出す当局者ら(ゲッティ=共同)