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「戦闘中断」か「停戦」か/足並みそろわず支援難航


「戦闘中断」か「停戦」か/足並みそろわず支援難航 ハマスとイスラエル軍の戦闘を巡る各国・地域の立場
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イスラム組織ハマスとイスラエル軍の大規模戦闘を巡り、米国や欧州連合(EU)はパレスチナ自治区ガザの人道危機から戦闘の一時的な「中断」を求めている。一方、中国やロシア、アラブ諸国は、より長期間にわたる「停戦」を要請。双方が互いの提案を非難し、支援実現への足並みはそろっていない。
 ブリンケン米国務長官は24日の国連安全保障理事会会合で、イスラエルに対し「一時的な戦闘中断(pause)」を検討すべきだと要請した。同国の「自衛権行使」を支持しつつ「市民の被害を最大限避ける措置を取らなければならない」と述べた。
 ただ米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は「停戦」(ceasefire)について「ハマスの利益になる」とし、否定的な考えを示している。
 欧州連合(EU)も26日の首脳会議で、イスラエルとハマスに戦闘の「一時中断」を要請する方針で合意した。戦闘中断を巡ってはドイツやオーストリアなどが慎重な姿勢を示したが、より強い「停戦」との表現を盛り込むよう望んでいたスペインなどと妥協した。日本も「中断」の立場だ。
 一方、ロシアや中国は戦闘中断では「大規模な軍事作戦に道を開く」(中国の張軍国連大使)などとして「停戦」を主張。エジプトやサウジアラビアなどアラブ諸国も「即時停戦」を求める。
 パレスチナのマンスール国連大使は26日に開かれた国連総会の緊急特別会合で、ガザでの犠牲者のほとんどは民間人とし「これは犯罪だ」と強調。各国に「命を救ってほしい」と訴えた。