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賛成121カ国、米反対 ガザ地上侵攻容認せず 国連「人道休戦」決議 日本や英は棄権


賛成121カ国、米反対 ガザ地上侵攻容認せず 国連「人道休戦」決議 日本や英は棄権 ガザ情勢を巡る国連総会決議案への投票結果
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同=稲葉俊之】国連総会(193カ国)は27日、パレスチナ自治区ガザの情勢を協議する緊急特別会合で、イスラエル軍とイスラム組織ハマスに「人道的休戦」を求める決議案を採択した。賛成は中国やロシア、フランス、アラブ諸国など121カ国で、米国を含む14カ国が反対、日本や英国など44カ国が棄権した。14カ国は不参加だった。 (1面に関連)
 日米や欧州の一部はハマス非難を盛り込むよう求めていた。決議に法的拘束力はないが、ガザ地上侵攻を目指すイスラエルの激しい軍事作戦を容認しない姿勢を示した。電子投票が始まると、賛成票を投じた国が数秒間で100カ国を超え、拍手が湧き起こった。
 イスラエルのエルダン国連大使は「人道危機など起きていない。ハマスを壊滅して人質を救出する」と反発。パレスチナのマンスール国連大使は「総会が打ち勝った。パレスチナと全ての人々に適切なメッセージを送った」と歓迎した。
 国連安全保障理事会は、短期間の「一時的な戦闘中断」や、より長期の「即時停戦」を検討したが、大国の思惑で対応がまとまらず、国際世論を反映しやすい総会に議論の場を移した。ヨルダンが提出した今回の決議は「敵対的行為の停止につながる即時かつ持続的な人道的休戦」を求めた。
 決議はガザの人道状況に「深い懸念」を表明し、水や食料、医薬品、燃料の供給を要求。「パレスチナとイスラエルの民間人に対するテロ行為や無差別攻撃」を非難した。ハマスを名指しで糾弾せず、「人質」の表現も避けて「不法に捕らわれている民間人の即時解放」を求めた。
28日、ガザ地区との境界に近いイスラエル南部スデロトを移動するイスラエル軍の戦車(ゲッティ=共同)