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中国「AI秩序」提唱 国際社会主導権狙う


中国「AI秩序」提唱 国際社会主導権狙う 人工知能(AI)の国際秩序を巡る中国提唱のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国の習近平国家主席は31日までに、世界各国と人工知能(AI)の秩序ある発展を目指す「グローバルAIガバナンスの提唱」を発表した。中国はAIで反体制的な言論が広がり共産党一党支配を揺るがすことを警戒。国内で規制を強めており、提唱では「AIを利用した内政干渉に反対する」と主張した。提唱を国際社会に浸透させ、米国に対抗してAI分野の主導権を握りたい考えとみられる。
 北京で開かれた巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議で10月18日に発表。習氏は基調演説で「各国と交流、対話を強化し、AIの健全な発展を促進したい」と述べた。
 提唱では「AIは世界にチャンスを与える一方で予測困難なリスクや複雑な課題をもたらす。各国はリスクの防止へ協力すべきだ」と訴えた。
 その上で11項目の提案を列記。(1)人間本位のAI開発を堅持し人類文明の進歩に有益となることを確保する(2)AIで他国の世論を操作し、虚偽情報を流し、内政や社会秩序に干渉することに反対する(3)特に大国は軍事分野のAI利用には慎重で責任ある態度を取るべきだ―などとした。
 ハイテク分野の格差を埋めるため「発展途上国への支援と国際協力を進めるべきだ」とも呼びかけた。グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の支持を取り付け米欧と張り合う構えだ。また「悪意を持ってAIのサプライチェーン(供給網)を切断することに反対する」と強調。バイデン米政権はAIに使用される半導体の対中輸出規制強化を17日に発表しておりけん制する狙いとみられる。