【ラファ共同=勝井潤】重武装した兵士が立ち並び、物々しい雰囲気が漂う。人道危機が深まるパレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にある唯一の支援物資搬入ルート「ラファ検問所」。二十数台の大型トラックが列をつくり、「病院を攻撃するな」と抗議の横断幕を荷台に張った車も。イスラエル軍の空爆と地上作戦が激化する中、足止め状態の支援に関係者は「もっと搬入を認めろ」と憤りを募らせている。
エジプト政府は10月31日、共同通信を含む海外メディアに検問所のエジプト側の様子を公開。検問所に向かって砂漠を抜ける一本道の脇には多数の軍用車両や装甲車が配備され、厳戒態勢が敷かれている。地元記者によると、イスラエル軍は検問所周辺のガザ側を攻撃することもあるという。
支援物資を積んだ車列の中にはパレスチナの旗を掲げるトラックも。支援に携わる関係者は「イスラエルのせいで助けが届かない」と、怒りを込めて吐き捨てるように話した。
物資搬入は10月21日に開始。検問所に運ばれた物資はイスラエル側が検査した後、ガザ側に引き渡される。国連は1日当たり最低100台分の物資が必要と訴えるが、パレスチナ赤新月社によると、31日までに受け取った物資は計217台分。イスラエルの反対により燃料は依然搬入されず、調整に当たるエジプト赤新月社の担当者は「届けた物資は必要量の3%に満たない」と語る。
物資の積み降ろしには多くのボランティアが参加している。アブドラフマン・サメさん(21)もその1人。搬入開始の初日から加わり、検問所近くのテントで仲間と一緒に寝泊まりしながら作業を手伝っている。「ガザを助けたい。イスラエルはもっと搬入を認めるべきだ」と語気を強めた。
エジプト赤新月社の担当者も「われわれの願いはガザに支援を届けること。それだけを願って昼夜問わず働いている」と訴えた。
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「物資もっと搬入を」
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琉球新報朝刊
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