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治安当局 口止め強要 アフガン女性 18人自殺 タリバン圧政、精神状態悪化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【カブール共同】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権による女性抑圧政策が原因で、不安を募らせるなどして精神状態が悪化した女性18人が自殺していたことが4日、支援団体や遺族への取材で分かった。うち12人の遺族に治安当局が口止めしていたことも判明。女性抑圧に対する批判は国内外で強く、実態を隠そうとしたとみられる。
 暫定政権は女性の教育や就労を制限し、国際社会は「人権侵害」と非難、タリバン暫定政権を承認していない。自殺はイスラム教が禁じているため隠す遺族も多く、支援団体は18人は「氷山の一角」と分析している。
 非政府組織(NGO)「アフガン女性・子ども福祉強化団体」によると、タリバンが復権した2021年8月以降、女性17人が教育や就労機会の制限、タリバン構成員との強制結婚を理由に将来への不安や不眠などの症状を精神科医や家族に訴えた後に自殺した。
 首都カブールで、政府機関で働きながら大学の修士課程に通っていた女性(29)は、タリバン復権後に女性であることを理由に解雇された。その後の22年12月に暫定政権は女子の大学教育を停止。女性は同月に服毒自殺した。警察が遺族に事情を聴いた際、女性の就労や就学を認めたことを非難した上で、自殺を口外しないよう強要した。
 17人のうち、この女性を含めた11人の遺族が治安当局に経緯を説明し、口外しないよう命じられたという。
 同団体の調査とは別に、女性1人(18)の遺族が共同通信の取材に、自殺と口止めがあったことを明らかにした。
 団体のマリアム・アルウィン代表は「治安部隊が女性抑圧の影響を隠すため、念を押して口止めしている」と強調した。