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ガザ戦闘「中断検討可能」 イスラエル首相、人道目的 最大級病院に攻撃


ガザ戦闘「中断検討可能」 イスラエル首相、人道目的 最大級病院に攻撃 ガザ地区を巡る状況、イスラエル軍の進軍エリア
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=吉田昌樹】イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘を巡り、人道目的の「戦術上のわずかな中断」は状況次第で検討可能だとの認識を表明した。6日の米ABCテレビのインタビューで語った。ただ、ハマスが拘束する人質の解放なくして「停戦はない」と改めて強調した。
 ハマスの奇襲で戦闘が始まって7日で1カ月。軍は地上侵攻でガザ地区を南北に分断し、ハマスの中核拠点とみるガザ市の包囲網を狭め、空爆を続けた。中東メディアは、北部ガザ市の地区最大級のシファ病院(700床)に6日、攻撃があり死傷者が出たと伝えた。軍は病院地下にハマスの拠点があるとし、地上部隊を2~3キロ手前まで進軍させている。イスラエル軍は攻撃を否定した。ネタニヤフ氏は、戦闘後に「イスラエルがガザの安全保障全般の責任を無期限に持つ」と語った。具体的説明はなかった。
 国連安全保障理事会は6日、非公開の緊急会合を開き、フランスが「人道的休戦」の要請を主張したが、意見はまとまらなかった。国連のグテレス事務総長は「ガザが子どもたちの墓場になっている」と述べ、即時停戦を改めて求めた。
 報道によると、シファ病院では太陽光パネルが破壊された。病院はイスラエルによる封鎖で燃料が届かず電力不足に陥り、患者の治療に支障が出ている。住民多数の避難先になっているが、ハマスは病院を軍事利用していないと主張している。
 中東メディアによると、6~7日にはほかにガザ市の3カ所の病院も攻撃を受け、計10人が死亡。南部ラファにも攻撃があり16人が死亡した。イスラエル軍は北部から南部への避難を住民に通告している。戦闘の死者はガザ側が1万328人、イスラエル側が1400人以上。双方で計1万1700人以上となっている。
 イスラエルメディアによると北部ハイファ郊外などに6日、レバノン側からロケット弾攻撃があった。イスラエル軍は反撃し、レバノンの民兵組織ヒズボラの武器庫などを破壊したと表明した。
イスラエルの攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザで、がれきの中を子どもを連れて歩く女性=6日(ゲッティ=共同)