有料

ガザ北部 5万人避難 ハマス拠点、軍が攻勢強化 仏、戦闘休止を要求


ガザ北部 5万人避難 ハマス拠点、軍が攻勢強化 仏、戦闘休止を要求 ガザ地区を巡る状況、イスラエル軍の進軍エリア
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=吉田昌樹】国連は8日、イスラエル軍が地上侵攻を強めるパレスチナ自治区ガザ北部から同日だけで推定約5万人が南部に避難したと明らかにした。軍は8日、多くの住民が北部から南部への避難通告に従っているとし、イスラム組織ハマスが拠点の北部で「支配を失った」と強調した。現地報道では9日も多くの人が徒歩で南に向かった。
 ロイター通信によると、ハマスが10~15人の人質を解放する代わりに、イスラエルがガザでの攻撃を1~2日休止する交渉をカタールが仲介している。パリでは9日、ガザ人道支援のための国際会議が開かれ、フランスのマクロン大統領は即時の戦闘の「人道的休止」を要求した。
 イスラエル軍は包囲を表明した北部ガザ市で攻勢を強化し、市街戦も展開。ガザ当局は9日、地区最大級の同市のシファ病院周辺に砲撃があったと表明した。軍はハマスの一大拠点とみる病院に接近。戦車が700メートルの距離まで迫ったとの目撃情報もある。ハマスはトンネル網を駆使したゲリラ戦で対抗しているもようだ。
 南部への空爆も伝えられ、ガザ保健当局は8日、過去24時間の犠牲者の49%は南部で被害に遭ったと表明した。
 国連によると5~8日の4日間で推定計7万2千人がガザ北部から南部に避難する一方、数十万人が北部に残る。軍報道官は9日、住民に「時間はなくなりつつある」と避難を再び要求。現地報道によると、白い旗を掲げたり荷物を抱えたりした人々が南に進んだ。
 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は8日、ハマスが人質を解放しない限り「停戦はない」と改めて語った。軍によると人質は約240人。戦闘の死者はガザ側が1万569人。イスラエル側を合わせ計1万1900人以上となっている。