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「チベット」英語表記変更/中国、統治へ欧米干渉けん制


「チベット」英語表記変更/中国、統治へ欧米干渉けん制 中国政府が公表したチベット自治区に関する白書。表紙には「シーザン(XIZANG)」と記されている
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国政府は10日、チベット自治区に関する白書を公表し共産党統治を正当化した。英語版で自治区の地名をこれまでの「チベット(TIBET)」ではなく、チベットの中国語「西蔵」の発音に当たる「シーザン(XIZANG)」と表記した。中国は欧米諸国と自治区の人権問題などを巡り対立しており、中国語読みに変更することで外国の干渉をけん制する狙いがある。
 中国の習近平指導部は2008年に大規模暴動が起きたチベット自治区で抑圧を強め、チベット族に対する中国語や共産党思想の教育を徹底。信仰よりも党・政府への忠誠を優先させる「宗教の中国化」を進めている。
 中国政府は過去に公表した白書で自治区をチベットと表記していた。シーザンの英語表記は中国政府が10月に開いた国際フォーラムで通訳が使用。今回の白書を伝えた国営通信新華社の英文記事も採用した。北京の西蔵文化博物館では一部表記が10日までにシーザンに差し替えられた。
 白書は習国家主席が重視する「国家安全」を自治区で維持するとし、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマについて「ダライ集団の反動的本質を暴き、分裂破壊活動を厳しく取り締まった」とした。
 10日に記者会見した党中央宣伝部の王綱副部長は、自治区は貧困を脱して生活の質が大幅に向上し「最も重要な人権である生存権」が守られていると述べた。