有料

ハマス戦闘「死か解放か」 シンクタンク「欧州外交評議会」 ヒュー・ラバット氏 イスラエル侵攻は長期化


ハマス戦闘「死か解放か」 シンクタンク「欧州外交評議会」 ヒュー・ラバット氏 イスラエル侵攻は長期化 シンクタンク「欧州外交評議会」のヒュー・ラバット上級政策フェロー
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 シンクタンク「欧州外交評議会」のヒュー・ラバット上級政策フェローは、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは「死か解放か」を巡りイスラエルと戦闘を行っていると主張。イスラエルの地上侵攻は長期化し、多大な犠牲者が出かねないと訴えた。(エルサレム共同=岡田隆司)
 ―ハマスはなぜ戦闘を仕掛けたのか。
 「市民に対する暴力は正当化できないが、イスラエルが長年にわたってガザを封鎖してきた背景がある。ハマスはこれまで、封鎖解除のためにイスラエルと戦闘をしたり外交や政治手段を使ったりもした。今回の戦闘は自暴自棄に見える。ハマスの考えでは、死かパレスチナ解放かの戦いだ」
 「イスラエルはアラブ首長国連邦(UAE)やモロッコと国交を正常化し、サウジアラビアとも交渉していた。ハマスは、こうした流れの中でパレスチナ問題が疎外されることと戦おうとしているとも言える」
 ―イスラエルは地上作戦で何を目指すのか。
 「ハマス壊滅も望んでいるように思うが、達成するのは非常に難しい。時間がかかり、パレスチナ人の市民やイスラエル人が犠牲になるだろう。もしハマスを壊滅させたらどうなるのか。イスラエルが(ガザを)完全に管理するのか、不人気で弱いパレスチナ自治政府(による統治)なのか。大きな問題だ」
 ―イランは関与しているのか。
 「ハマスが支援者であるイランと連携しているのは明らかだ。(イスラエルとアラブ諸国の)正常化を阻害することはイランの利益にもなる。(今回の戦闘は)ハマスが組織し決断したと思うが(双方の間で)高官会談が行われているし、イランはハマスに資金供給している。イランにとって、ハマスとの関係を通じイスラエルに非対称の脅威を生み出せることは戦略的利益の一部だと理解する必要がある」
   ×   ×
 1987年5月生まれ。専門はイスラエル・パレスチナ、紛争解決。