有料

ガザ病院地下「人質痕跡」 イスラエル軍、攻撃正当化


ガザ病院地下「人質痕跡」 イスラエル軍、攻撃正当化 パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、イスラエルの攻撃による犠牲者を悼む人々=14日(ゲッティ=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=平野雄吾、吉田昌樹】パレスチナ自治区ガザで地上侵攻を続けるイスラエル軍のハガリ報道官は13日、北部ガザ市のランティシ病院に軍特殊部隊が入ったと明らかにした。病院地下に一時期、イスラム組織ハマスが拘束する人質がいた「痕跡がある」と強調。トンネルや武器など「テロ拠点としていた証拠を見つけた」とも主張した。国際人道法違反である医療機関への攻撃を正当化した。
 ガザ保健当局によると、燃料枯渇の影響などでガザ北部の全病院が14日までに機能を停止した。ガザ全体では南部を含め35の病院があり、うち25は医療活動を停止。残る南部の10病院も医薬品や燃料が不足している。
 ハマスの軍事部門は13日、5日間の停戦と引き換えに、ハマスが拘束する女性や子どもの人質を最大で70人解放する用意があると仲介役のカタールに伝えたと主張。イスラエル側は100人の解放を要求したという。
 ハガリ報道官は自らランティシ病院に入ったとし「地下で手りゅう弾や自動小銃、その他の武器を発見した」と述べた。ハマスによる10月7日の奇襲で使われたとみられるバイクもあったとし「人質の髪の毛やロープ、哺乳瓶、おむつもあった」と語った。「ガザでこのような病院はここだけではない」と指摘した。ハマスは声明で軍の主張は「虚偽」と否定した。
 中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、地区最大級の医療機関シファ病院では7人の赤ちゃんと集中治療を受けていた29人が死亡した。保育器の新生児も危険な状態との情報がある。ガザ市のアルクッズ病院でも13日、銃撃戦が起きた。
 国境なき医師団(MSF)は13日、シファ病院では「患者を狙う軍の狙撃手がいる」と主張。バイデン米大統領は「病院は守られなければならない」と懸念を示した。
 軍は14日もガザ北部住民に「回廊」を通じた南部への避難を通告。国連によると5日以降、推定20万人が避難したが、なお数十万人が北部に残る。ガザ当局は13日、戦闘の死者が1万1240人になったと表明。3500人が行方不明という。