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病院攻撃、国際法違反か 識者「イスラエルは立証を」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ最大の医療機関シファ病院への攻撃を巡り、戦時の文民病院の保護などを定めた「国際人道法に違反する」との批判が高まっている。ただ「人間の盾」として病院が使われた場合は保護対象から除外され得るとの規定もある。専門家は「病院を攻撃するイスラエル側に立証責任がある」と指摘する。
 戦時の人道上の義務などを定めたジュネーブ諸条約は「文民病院はいかなる場合にも攻撃してはならず(中略)保護を受ける」と規定している。
 一方で「病院がその人道的任務から逸脱して敵に有害な行為を行うために使用された場合」に「合理的な期限を定めた警告が発せられ(中略)その警告が無視された後」には病院の保護が消滅し得るとも記されている。
 国際法に詳しい早稲田大の萬歳寛之教授は、イスラム組織ハマスが病院に残る患者や住民らを「人間の盾」として使っていれば、国際人道法違反や戦争犯罪に当たる可能性があると指摘。その場合は病院への保護が消滅し得るという規定に該当するとみられ「イスラエルは、そのような形を作ろうとしているように見える」と説明する。
 その上で「国を挙げて情報発信するイスラエル側の言い分に注目が集まりがちだ」とし、各国がイスラエルとともにハマスに対しても、国際法を順守するようメッセージを発信し続けることが重要だと強調した。
 ガザとエジプト境界のラファ検問所を訪れたターク国連人権高等弁務官は16日、スイス・ジュネーブでの演説でイスラエル、ハマスの双方に国際人道法違反の疑惑があると強調。独立した国際的な調査が必要だとの認識を示した。