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CO2排出 過去最大574億トン 22年全世界 国連報告「急激な減量を」


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 世界の2022年の温室効果ガス排出量は前年から1・2%増えて過去最多となり、二酸化炭素(CO2)換算で574億トンに上ったとの報告書を国連環境計画(UNEP)が20日、公表した。このままでは、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるパリ協定の目標が達成できる可能性が低く、確率は最大14%しかないと指摘した。対策が遅れれば3度近い上昇になるとしている。
 アンダーセン事務局長は、今年が観測史上最も暑い年になる見通しに言及し「人類は気候変動に関し誤った記録を塗り替えており、軌道修正すべきだ」と早期の脱炭素を訴えた。先進国が排出削減をより強化し、発展途上国に資金や技術を支援する必要性も強調した。
 今月30日から国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)で予定され、報告書が示した危機感を踏まえ対策強化を打ち出せるかどうかが注目される。
 報告書は、各国が掲げている削減数値を基にすると、世界の排出量は30年時点で520億トン、35年時点で510億トンになると予測した。「1・5度目標」を50%の確率で達成するには、それぞれ330億トンと250億トンまで急激に減らす必要があるとしている。
 主な国の気候変動政策も評価し、日本については化石燃料の輸入事業者に賦課金の支払いを求めることなどが決まったが、現状では削減効果が不透明だとした。中国は60年までの「排出実質ゼロ」を掲げる一方、足元の化石燃料消費が伸びており、乖離(かいり)を指摘した。
 COP28は、世界の対策の進捗(しんちょく)評価が主要議題になる。