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ガザ戦闘休止「合意近い」 人質解放へ大詰めか 米大統領とハマス表明


ガザ戦闘休止「合意近い」 人質解放へ大詰めか 米大統領とハマス表明 16日、ガザ地区北部ベイトラヒヤのインドネシア病院で、病床不足のため床に横たわって治療を受ける患者ら(ゲッティ=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=吉田昌樹】バイデン米大統領は米東部時間20日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を休止するのと引き換えに、ハマスが拘束する人質を解放する交渉の合意が近いと明言した。交渉は米国やカタールが仲介。ハマス指導者ハニヤ氏は21日、合意が「近づいている」と表明した。イスラエル側の対応が注目される。中東メディアによると、カタール当局者は「最終段階だ」と話した。
 ハニヤ氏によると、ハマス側の対応はカタールに回答した。ハマス幹部は、近くカタールが合意を発表する見通しだと話した。合意にガザへの人道支援物資の搬入や、イスラエルが政治犯などとして拘束するパレスチナ人の女性や子どもの解放も含まれるとも語った。
 米ワシントン・ポスト紙によると、戦闘を少なくとも5日間控える代わりに、ハマスが人質の女性と子ども数十人を24時間ごとに順次解放する内容が協議されている。
 イスラエルでは人質解放を重視する一方、軍事作戦を継続すべきだとの声もあり、戦時内閣で見解が対立してきた。
 赤十字国際委員会(ICRC)のスポリアリッチ委員長は20日、カタールを訪れてハニヤ氏と会談した。人質解放に関して協議したもようだ。
 ハマスは10月7日、イスラエルへの奇襲攻撃で民間人ら230人以上を人質として拘束した。イスラエルは、ハマスがガザ市にあるガザ地区最大のシファ病院地下のトンネル網で人質を拘束しているとみて今月15日に突入したが、ハマス司令部や人質は発見できていない。人質の半数以上は外国籍を保有している。
 一方、イスラエル軍は21日、戦車で包囲したガザ北部ベイトラヒヤのインドネシア病院への攻撃を続けた。国連によると、20日の攻撃で12人が死亡し多数が負傷したとの報告がある。世界保健機関(WHO)は「がくぜんとしている」と非難し、医療機関への攻撃を控えるよう求めた。院内には数百人の患者が残っているという。
 同病院への攻撃について、軍はロイター通信に「院内から発砲があった。軍は発砲した敵を直接狙った」と話した。