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台湾総統選3候補争い 野党一本化決裂、与党優位


台湾総統選3候補争い 野党一本化決裂、与党優位 台湾総統選に立候補を届け出た3人
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【台北共同=渡辺靖仁】来年1月の台湾総統選で、対中融和路線の最大野党、国民党と野党第2党の台湾民衆党は一本化協議が決裂し、それぞれの候補が24日、立候補を届け出た。野党側が分裂し3候補の争いとなり、中国が台湾独立派と見なす与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統(64)が優位な構図が固まった。同日午後、立候補の受け付けは締め切られた。
 民進党側は、総統選に加え、同時実施される立法委員(国会議員)選で民進党を過半数割れに追い込む狙いから中国が偽情報の拡散などを通じ、選挙戦への介入を強化する可能性があるとみて、警戒している。頼氏が当選すれば中国は台湾への圧力を強めるのは確実で、米中の対立を背景に、台湾海峡の緊張が一層高まる恐れがある。
 国民党の侯友宜・新北市長(66)と民衆党の柯文哲・前台北市長(64)は24日、ペアを組む副総統候補を伴ってそれぞれ中央選挙委員会で立候補を届け出た。無所属で出馬表明していた鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏(73)は届け出ず、頼氏と侯氏、柯氏による争いが確定した。
 対中姿勢を巡り、野党側は2期続く民進党政権下での中国との激しい対立で安保環境が悪化したと主張し、中国との対話の重要性を強調。長期政権の弊害と政権交代の必要を訴えている。
 24日、侯氏は野党候補の一本化が実現しなかったことに「遺憾」の意を表明した上で、国民党の団結を呼びかけた。柯氏は「民進党の政策には長期的な計画がない」と批判して「政治改革運動」を行うと訴えた。