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ユダヤ系企業 ネット、ゲーム、化粧品… 多分野で存在感、功績 鈴木多美子


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 インターネットの基本を構築したのは、共に学者でユダヤ人のビントン・サーフ氏とロバート・カーン氏。インターネットのネットワークを設計し「インターネットの父」と呼ばれている。80代の二人は今でも現役で、インターネットの発展のための非営利活動をしている。
 パソコンメーカーのデル社創業者マイケル・デル氏は、ユダヤ教徒の家庭に生まれた。学生の時に店頭に売っているコンピューターを分解してコンポーネントを改良し、アップグレードしたのを友人らに販売していた。19歳で起業しパソコンの製造販売を始め、仲介業者を介さず直売スタイルで販売した。今や世界で売り上げ台数トップクラスの企業になった。
 アンドリュー・グローブ氏は、インテル社を世界一の半導体企業に導いた立役者。ユダヤ系ハンガリー人として難民申請で米国へ入国し、英語を学びながら学費の要らないニューヨーク市立大学へ通った。化学工学科を首席で卒業後、カリフォルニア大学で博士号を取得しインテル社に入社。中央演算処理装置(CPU)の市場シェアを世界一にさせた。
 他にもデジタル通信技術システムを開拓したクアルコム社、デルのライバルであるコンパック社の創業者はユダヤ人である。
 さらにシンガーミシン社、アパレル会社のリーバイズ、GAP、カルバン・クライン、ポロラルフ・ローレン社は、全てユダヤ人によって創業された。
 おもちゃ業界では、バービー人形の生みの親のマテル社創業者と鉄道模型の老舗ライオネル社の創業者はポーランド系ユダヤ人だ。GIジョーを生んだハズブロ社はウクライナ出身のユダヤ移民の兄弟によって創業された。ルービックキューブを世界的にヒットさせたアイデアル・トイ社とトイザラスの創業者もユダヤ人である。
 ゲームメーカーでは、米空軍のユダヤ人兵士が沖縄配属の1953年に「ローゼン・エンタープライズ」を設立し、後に日本の会社と合併しSEGAの社長になった。スペース・インベーダーを生み出したタイトー社の社長は、満州出身のユダヤ人でSEGAと共にゲーム全盛期の日本文化史に功績を残した。
 化粧品業界もユダヤ系で占められている。ヘレナ・ルビンスタイン、マックスファクター、レブロンなどが続く。エスティーローダー社の創業者は、世界初の女性起業家の一人ローダー夫人。日本でも人気のクリニックなども傘下に置きグローバル企業に成長した。
 移民して来た貧しいユダヤ系の若者らにとって、簡単に稼げる職業は不動産業だった。1920年ごろ、ニューヨーク市内の不動産開発業者の40%がユダヤ人で占められていた。第2次大戦後、アメリカ国内で不動産ブームが起きるとユダヤ系不動産関連業社は巨万の富を築いた。1997年度の個人資産48億ドルの不動産王として知られているのはティッシュ兄弟。東欧系移民の子で兄のローレンス氏は、18歳で大学を卒業し20歳で経営学修士(MBA)を取得している。ADL(ユダヤ名誉毀損防止連盟)の最高幹部でもあった。 (バージニア通信員)