【カイロ共同】イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、海運の要衝の紅海で日本郵船運航の貨物船を拿捕(だほ)して、26日で1週間。フーシ派は「(攻撃される)パレスチナ自治区ガザの人々の援護」とし、敵視するイスラエルの経済に打撃を与えると主張するが、襲撃のリスクを恐れ各国船が紅海から航路変更などを迫られれば、国際海運に影響が広がるのは必至だ。 (1面に関連)
「(紅海は)イスラエル経済の生命線だ」。拿捕が明らかになった翌20日、フーシ派系列メディアは狙いを説明する記事を伝えた。イスラエルが紅海を失えば、同国からアジアに向かう船はアフリカ大陸を回る必要が出て「経済に大打撃を与えられる」とした。
フーシ派は当初「イスラエル船を拿捕した」と主張。実際に運航していたのは日本郵船だったが、船の所有会社の親会社はイスラエルの実業家が所有しているとされる。
紅海は石油タンカーや貨物船が航行する世界経済の大動脈だ。過去にもフーシ派による民間船襲撃があり、エジプトの海運会社社長は取材に、今回の拿捕で紅海の船舶の保険料が上がり、輸出入品の価格に転嫁される可能性もあると指摘した。
フーシ派はイスラエルと敵対するイランの支援を受け、軍事力を強化してきた。英シンクタンク国際戦略研究所によると、9月の軍事パレードではイスラエルを射程に収めるミサイルを公開。イラン製をモデルにしたとみられている。ただイスラエル軍はこれまで、フーシ派のミサイルや無人機攻撃を迎撃しただけで反撃はしていない。レバノンとの国境地帯で同国の民兵組織ヒズボラと交戦しており、戦線拡大は避けたい構えだ。
フーシ派報道官は、拿捕は海上での戦いに向けた一歩だと表明し「これは始まりだ」と警告。フーシ派との関連は不明だが、AP通信によると、24日にはイスラエルの富豪が所有に関係する貨物船がインド洋で無人機攻撃を受けた。民間船への攻撃は今後も続く恐れがあり、紛争の拡大リスクが高まっている。
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「ガザ援護」で海運懸念 フーシ派拿捕1週間 紅海、航路変更も
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琉球新報朝刊
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