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タリバン政権「やむなし」 女子教育再開、民族融和を アフガニスタン・ カルザイ元大統領が会見


タリバン政権「やむなし」 女子教育再開、民族融和を アフガニスタン・ カルザイ元大統領が会見 アフガニスタン・カルザイ元大統領の発言要旨
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【カブール共同】アフガニスタンのカルザイ元大統領が首都カブールで共同通信と単独会見し、2021年8月に武力で復権したイスラム主義組織タリバン暫定政権の「崩壊や分裂は望まない」と述べ、暫定政権の存続容認はやむを得ないとの認識を示した。タリバンに「政策の改善」を求め、女子教育の再開や多民族間の融和と政治参加を促すことが、唯一の打開策だと強調した。
 カルザイ氏は01年の旧タリバン政権崩壊後、米国主導の民主化プロセスで初代大統領となり14年まで務めた。今回の発言は、民主化が失敗しタリバン統治が長期化した今、タリバンとの共存を探るしかアフガン安定の道はないという苦しい立場を示している。
 インタビューは22日に行った。カルザイ氏はタリバンが「正当で国際的に承認された政権」となるためには「女子教育の即時再開と、反タリバン勢力を含めた国内対話」が不可欠だと指摘。タリバンの多数派は理解していると語った。
 「紛争は状況をさらに悪化させる」と強調。武力でタリバン政権崩壊を目指すのではなく、対話で「多数のアフガン人が発言権を持ち政治に参加できるようにすること」が重要だと訴えた。
 タリバンは多数派民族パシュトゥン人が主体。政権掌握後タジク人など他民族を排除し、政策決定をほぼ独占している。カルザイ氏は「権力者は自分たちだけで国を運営してはならない」と批判。国内対話を通じ、中央政府の下で各民族に強力な自治権を与える国家像が理想だと述べた。
 対話開始には長い時間が必要だとした上で、伝統的な最高意思決定機関ロヤ・ジルガ(国民大会議)や選挙を通じた国民の政治参加を訴えた。
 タリバン復権の大きな要因は、多数の市民を巻き添えにした米軍や旧アフガン国軍の対テロ作戦など「重大な過ち」で民主政権が信頼を失ったことだと語った。