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「ガザは故郷」帰還相次ぐ 休戦2日延長 終戦願い 家族の元へ


「ガザは故郷」帰還相次ぐ 休戦2日延長 終戦願い 家族の元へ ラファ検問所前でパレスチナ自治区ガザに届ける荷物を積む男性ら=27日、エジプト・ラファ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ラファ共同=勝井潤】再び戦闘が始まる可能性があると分かっていても帰りたい。故郷だから―。イスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザでの戦闘を休止して以降、エジプトとの境界にあるラファ検問所にはガザに戻ろうとするパレスチナ人が詰めかけている。休止で帰還が認められ「残してきた家族に会いたい」と口々に語り、ゲートを越えて久しぶりの平穏が訪れたガザへ急いだ。 (1面に関連)
 10月7日の戦闘開始後、ラファ検問所はガザへの唯一の支援物資搬入ルート。人の往来も同検問所だけに限られている。
 今月24日に始まった戦闘休止を受けて支援物資の搬入量は拡大し、27日には検問所の数キロ手前から物資を積んだトラックの車列ができていた。ガザで激しい戦闘が続いていた約1カ月前に記者が訪れた際には多くの軍用車両が配置され、物々しい雰囲気が漂っていたが、今回はそうした緊張は感じられなかった。
 27日の昼下がり、スーツケースを引いたムハンマド・アブレイダさんが見送りの知人らと共に検問所に現れた。親族を訪ねてエジプトに入国した数日後に戦闘が始まり、ガザは「完全封鎖」状態に。5人の子どもらをガザに残したまま、1カ月半以上のエジプト滞在を余儀なくされた。
 この間、自宅はイスラエル軍の砲撃で損壊、家族はガザ南部ハンユニスに避難した。インターネットなどが遮断され、連絡が取れなくなるたびに不安な日々を過ごしたといい「やっと故郷に帰って子どもに会える。このまま戦争が終わってほしい」と語った。
 エジプト当局によると、ガザに戻れなくなっていたパレスチナ人約420人が24~27日にエジプトから帰郷したという。
 ハマダ・アブジャザルさんは父親の遺体をガザに搬送するためゲートに向かっていた。父親はガザ南部の学校に避難中、イスラエル軍の砲撃を受けて頭部を負傷。エジプトへの退避が認められ、病院で治療を受けたが亡くなった。
 「故郷の土地に埋葬してほしいというのが父の願いだった」とアブジャザルさん。検問所のガザ側では親族らが到着を待っているという。「これからは何が起ころうとも、われわれはガザを離れない」。アブジャザルさんは言い切った。