【キーウ共同=小玉原一郎】ウクライナのゼレンスキー大統領の妻オレナ・ゼレンスカさんは27日の共同通信などアジアの一部メディアとの会見で、ロシアはウクライナの子ども1万9500人を自国に連れ去ったと訴え、民族のアイデンティティーを抹消する国際法上の「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に当たる行為だとロシアを非難した。各国に「ウクライナの子どもを支援するため声を上げてほしい」とも呼びかけた。
ジェノサイド条約は子どもの集団を強制的に他の集団に移すこともジェノサイドに該当すると規定している。
ウクライナの多数の学校で防空シェルターが備わっておらず、対面での通学は全体の3分の1に過ぎないと強調。戦時下で子どもたちがさまざまな苦難に見舞われていると語った。
ウクライナ側がロシア側から取り戻した子どもはわずか380人余りにとどまっている。帰還した子どもによると、ロシア人として「愛国トレーニング」を受け、国歌を覚えさせられている。
オレナさんは、ロシアが連れ去った子どもにパスポートを含む新たな身分証明書を与えたり、名前の読み方やつづりをロシア風に変えたりしていると訴えた。ウクライナ側による子どもの追跡を阻むため、多くの手だてが講じられているとロシアを批判した。
「母国から連れ去られ、他国で再教育を受ける子どもたちの心に何が起きているのか、想像し難い」と述べ、早期帰還の実現には国際社会の支援が欠かせないと述べた。
オレナさんは長期化する戦争をどう終わらせるべきかとの質問に「大統領が答えるべきだと思う」と回答を避けたが「どこかの段階で交渉になると確信している。(ロシアとの)交渉条件ができるだけ早く整うように願うだけだ」と語った。
さらに「ウクライナの人々が広場や通りで歌い、心配せずに空を見上げる様子を見たい。しかし、今それを想像することは難しい」と苦しい胸の内も明かした。自身はウクライナが勝利した後に多くの国を訪れたいと希望しているものの、実現の見通しのない「痛みを伴う夢だ」と語った。
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子ども連行はジェノサイド ゼレンスキー大統領の妻 オレナさん、ロシア非難 1万9千人超被害訴え
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琉球新報朝刊
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