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脱化石燃料へ議論 COP28開幕 気温抑制難しく


脱化石燃料へ議論 COP28開幕 気温抑制難しく COP28の開幕式で演説するUAEのジャベル産業・先端技術相=30日、ドバイ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ドバイ共同】国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が30日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開幕した。パリ協定に沿って気温上昇を産業革命前から1・5度に抑えることが難しくなりつつあり、各国が立場の違いを超え、化石燃料の段階的廃止など大胆な対策を打ち出せるかどうかが焦点だ。2030年までに再生可能エネルギーを3倍に拡大する目標への合意も期待されている。
 議長を務めるUAEのジャベル産業・先端技術相は開幕式で「世界は岐路に立たされている。これまでのやり方では目的地に到達できない」と述べ、各国が軌道修正して対策を大幅に強化しなければ手遅れになるとの危機感を示した。
 会期は12月12日まで。1、2日は首脳級会合が開かれる。岸田文雄首相が出席し、1日に演説して日本の取り組みをアピールする。
 会議ではパリ協定の1・5度目標の実現に向け、世界の対策がどの程度進んでいるか評価する作業が初めて実施される。現状の各国の削減水準では目標実現が不可能で、進(しん)捗(ちょく)評価によっては各国がより野心的な削減数値を掲げることが期待される。5年ごとに行うこの評価の仕組みが機能しなければ気候変動に歯止めをかけるのが難しくなる。
 議長国UAEは日本など有志国と共に世界の再生エネの設備容量を3倍に引き上げる誓約をまとめる方針。締約国全体の合意にすることも模索する。この規模の導入は、国際エネルギー機関(IEA)が1・5度目標の実現に必要としている。
 発展途上国への資金支援も会議の大きな論点になる。気候変動で生じた被害救済の基金を設けることになっており、COP28で運営方法を決める。これとは別に、先進国が年間1千億ドル(約14兆7千億円)を拠出する公約も議論される。22年に達成された可能性がある一方、融資の形が多いため債務増加が課題。増額を求める声も強い。
COP28の開幕式で演説するUAEのジャベル産業・先端技術相=30日、ドバイ