【北京共同】ミャンマー北東部で軍政打倒を掲げる少数民族武装勢力の攻勢が拡大し国軍との戦闘が激化、国境を接する中国が神経をとがらせている。中国軍南部戦区は11月25~28日、国境地帯で実戦を想定した演習を実施。ミャンマー側の双方をけん制するとともに「即時停戦と対話」(中国外務省)を促した。
混乱の原因の一つは雲南省と国境を接するミャンマー北東部シャン州を拠点に中国人を標的として活動する特殊詐欺グループの問題だ。中国国営メディアによると、2022年に中国で摘発された電話やオンラインの詐欺計46万4千件のうち60%がミャンマー関連だった。高額報酬をうたう求人広告にだまされてミャンマーの拠点に監禁され、詐欺を強要されている中国の若者も多く、社会問題になっている。
中国政府は国境安定を重視する立場から軍政を事実上擁護し、詐欺グループの取り締まりを要求してきた。だが軍政は本腰を上げず、英BBC放送などによるとシャン州で今年10月、詐欺拠点を脱出しようとした中国人ら多数が殺害される事件が発生。「中国が激怒した」と伝えられた。
少数民族の三つの武装勢力は10月27日、中国や世論の支持を狙い「詐欺グループ撲滅」を掲げて同州で一斉攻撃を開始し、国軍拠点を次々と占拠。雲南省には流れ弾が飛来し、多くの避難民が国境に押し寄せているとされる。
中国公安省は11月、詐欺の首謀者らを公開指名手配し、ミャンマー側から引き渡しを受けたと発表。ミャンマーで拘束された3万1千人の容疑者も中国に移送された。
中国はミャンマー国軍への不満から、武装勢力による国軍攻撃を「黙認」したとの見方もある。共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「内政不干渉が中国の原則だ」と主張した。
ミャンマーで拘束され、中国に移送される特殊詐欺に関わった容疑者ら=11月18日(中国公安省の「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントから、共同)
有料
中国、ミャンマー戦闘警戒 国境で演習、詐欺も背景
![中国、ミャンマー戦闘警戒 国境で演習、詐欺も背景](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2023/11/RS20231130G00743010100.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)