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平穏7日 恐怖再び 住民悲痛「何人死ぬのか」 ガザ戦闘再開


平穏7日 恐怖再び 住民悲痛「何人死ぬのか」 ガザ戦闘再開 イスラエル軍の攻撃で負傷し、病院に運ばれた子ども=1日、パレスチナ自治区ガザ中部(AP=共同)
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 【エルサレム共同】平穏な日々はわずか7日間で終わり、再び恐怖が訪れた―。イスラエル軍は1日、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を再開したと表明した。軍は空爆に加え、戦車で砲撃。「何人死ねば戦闘が終わるのか」。ガザの住民からは悲痛な声が上がった。 (1面に関連)
 「砲撃音や戦闘機の音が、すぐそばではっきりと聞こえる。恐れていたことが今、現実になった」。ガザ地区南部のサマ・サファディさん(45)は1日の戦闘再開直後、共同通信の電話取材におびえるように話した。戦闘休止の延長を期待し、昨夜は眠れなかったと振り返る。
 イスラエル軍の指示に従い、壊滅的な打撃を受けたガザ北部から南部に避難したが、避難先の近くにも空爆や砲撃があったという。サファディさんは「どこに逃げればいいのか」と憤った。
 戦闘休止期限の午前7時前から砲撃があったとの証言もある。3人の娘を持つサリー・サマクさん(40)は午前6時に砲撃音で飛び起きた。娘を安心させようと空き地を狙ったうその砲撃と説明したが、直後に隣家が攻撃された。娘は震えながら立ち上がり「お母さんのうそつき」と言った。
 中東メディアが伝えた現地からの映像によると、ガザの上空には黒い煙や白い煙が立ち上った。倒壊した建物のがれきを撤去し、下敷きとなった人を助けようとする住民の姿も。病院には負傷者を運ぶ救急車や乗用車が相次いで到着した。
 南部ラファのモンタセル・アブタハさん(34)は「パレスチナ人がさらに何千人も殺害されるまで、戦闘は終わらないだろう」と嘆いた。アブタハさんによると、北部からの避難民で南部は密集し、どこの家庭も避難民を受け入れている。「南部を標的にすれば犠牲者は増える」と危惧した。
 一方、イスラエル市民からは戦闘再開を支持する声が上がったほか、長期化による生活への影響を心配する人もいた。
 エルサレムのヨッシー・コーガンさん(26)は「ハマスをこのままにしておくことはできない。イスラエルがガザをコントロールする必要がある」と強調。エルサレム中心部でネイルサロンを経営する女性(70)は結婚式などがなくなり、戦闘開始前と比べて売り上げは半減したと説明。「戦闘よりも交渉で解決するべきだ」と訴えた。
イスラエル軍の攻撃で負傷し、病院に運ばれた子ども=1日、パレスチナ自治区ガザ中部(AP=共同)