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「核共有に反対」削除 締約国会議、拒否感配慮か


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同】ニューヨークで開催中の核兵器禁止条約第2回締約国会議は11月30日、核抑止論からの脱却を国際社会に呼びかける宣言案を公表した。草案にあった「核共有に反対する」との記述は削除された。日本のように「核の傘(拡大核抑止)」の下にある国々の拒否感に配慮し、将来的なオブザーバー参加などにつなげたい思惑があるとみられる。
 5日間の会期の最終日となる12月1日(日本時間2日)に宣言案を採択する。
 開幕前に締約国に配布された草案は「核共有はいかなる状況下でも正当化できない」と強く非難していた。開催中に配られた改定案は「核共有の維持、追求に反対する」と表現を後退させた。
 結果的に、公表した宣言案からは「核共有」への直接の言及は削除された。拡大核抑止に依存する国が増加していると指摘し、条約が禁止する「非核保有国の領土への核配備」を憂慮。こうした核の取り決めを廃止し、条約に加わるよう各国に要請するにとどめた。
 北大西洋条約機構(NATO)の核共有に対抗するとしてロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備し、核共有が不拡散体制を揺るがすとの懸念は強い。草案では核の威嚇に基づく抑止論と同列で批判していた。
 だが締約国会議にはNATO加盟国のドイツとベルギー、ノルウェーがオブザーバー参加。そうした国々や日本などとの対話の糸口を失わず、条約や会議への参加を促すために宣言案を修正した可能性が高い。