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電気不要自動ドア好評 東北でも普及 災害対策や事故防止 河北新報提供


電気不要自動ドア好評 東北でも普及 災害対策や事故防止 河北新報提供
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 電気ではなく人の重さで開閉する荷重式自動ドア「ニュートン」が、東北でも普及しつつある。電気代がかからず施設の維持費を抑えられるほか、東日本大震災を経て施設の災害対策として見直されている。実際の人の動きと連動するため、ドアにぶつかるなどの事故も起きにくく、高齢者や乳幼児、車椅子利用者らにも安心と好評だ。
 (北上支局・江川史織)
 江刺葬儀社(奥州市)は10月、市内の葬儀場「久遠ホール」で遺族や社員が出入りする玄関にニュートンを取り付けた。見た目は他の自動ドアと変わらないが、床からわずかに盛り上がった駆動部を踏むとドアがゆっくり開く。
 以前は手動の開き戸で、供え物や宿泊の荷物を抱える利用者に不便だった。取り付け工事は5日ほどで終わり、費用は約250万円。後藤茂社長(68)は「従来の電動の感応式自動ドアのように不必要に開閉することがなく、開閉も穏やかなので万が一、体が挟まれても痛くない」と話す。
 ニュートンは製造元の「ニュートンプラス」(東京)が2010年に開発した。床にある踏み板に重さがかかると、てこの原理でローラーがドアを押し開ける仕組み。20キロの重量が必要なため、乳幼児が保護者の目を逃れて外に飛び出す恐れもない。電気代がかからず、消耗品を交換すれば長年使用できる。同社によると、ニュートンを10年間使った場合、電動ドアと比べて90万~180万円の維持コストが削減できるという。
 東北では震災で被災したいわき市の常磐自動車道湯ノ岳パーキングエリアを皮切りに、市内3カ所の防災拠点施設に導入された。現在は首都圏の行政庁舎や大学、中部地方の高速道路のサービスエリアなど100以上の施設で使われている。
 東北の販売代理店「GEnKi(げんき)」(秋田市)の後藤一臣代表社員(41)は「震災時には自動ドアの停電や故障で、建物に閉じ込められる事案が起きた。今後の災害に備え活用してほしい」とPRする。