有料

鎮魂の日本庭園 整備へ 岩手日報提供


鎮魂の日本庭園 整備へ 岩手日報提供 「鎮魂の庭」の整備予定地を指さし「にぎわいが戻ってほしい」と期待する菊池満夫会長=20日、陸前高田市気仙町今泉地区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本庭園芸術協会(東京、北山安夫代表理事)と陸前高田市は、気仙町今泉地区の津波浸水域で未利用が続く造成地に日本庭園の整備を計画している。緑豊かな空間で東日本大震災の犠牲者を思い、人々が交流を温める場とする、名付けて「鎮魂の庭プロジェクト」。資金や苗木など幅広く善意を募りながら約10年かけじっくりと環境を整えていく。
 「生きている人、亡くなった人。みんなが集い語らう場にしたい」。市役所で20日、北山さん(74)は佐々木拓市長と記者会見に臨み、概要を説明した。予定地は気仙川沿いの今泉地区の土地区画整理事業エリア(事業面積112ヘクタール)にある1.5~3ヘクタール。設計はこれからで津波に流された石や地元の木材などの活用も検討していく。総工費3億~5億円を見込み寄付や市への企業版ふるさと納税を充てる。1億円を確保でき次第着工し、完成まで10年程度を想定。園内に植える苗木なども広く募っていく。
 北山さんは京都市の建仁寺、高台寺の庭づくりや宮内庁管轄の庭園管理を手がける日本を代表する庭師。打ちひしがれる被災地に心を痛め「自分に何かできないか」との思いを抱いてきた。陸前高田の関係者との縁で形にできる運びとなり「人々の思いを紡ぎ、千年先まで続く庭を造る」と誓う。
 今泉地区コミュニティ推進協議会によると津波で全体の95%を超える592世帯が被災。復興まちづくりが他地区より遅い時期にずれ込み「最終ランナー」となった。整備予定地を20日、訪れた菊池満夫会長(71)=写真=は「庭園を中心に市内外から多くの人が訪れ、かつてのようなにぎわいが戻ってきてくれたら幸せに思う」と期待する。