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「闘い続く」獄中から宣言 ノーベル平和賞授賞式 イラン活動家


「闘い続く」獄中から宣言 ノーベル平和賞授賞式 イラン活動家 日、ノーベル平和賞の授賞式でナルゲス・モハンマディさんに代わり賞を受け取った娘キアナさん(左)と息子アリさん=オスロ(共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【オスロ共同】ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれた。今年の受賞者はイランの女性人権活動家ナルゲス・モハンマディさん(51)で、収監中の刑務所内からメッセージを寄せ、今後も抑圧的な体制との「闘いは続く」と宣言した。式典では双子の子どもが代理でメダルと証書を受け取った。
 モハンマディさんのために空席の椅子が用意されメダルと証書が置かれた。壇上の壁には大きな顔写真が掲げられた。メッセージでは「イランの若者たちが街中を、抵抗が広がる場に変えた」と強調。ノルウェー・ノーベル賞委員会は「人権と強力な市民社会を支持する彼女の生涯にわたる闘い」を評価した。
 モハンマディさんは厳格なイスラム体制下で、人権侵害を告発してきた。反国家的なプロパガンダを広めた罪などで拘束歴は13回に及び、2015年から禁錮10年の刑に服している。フランスに亡命中の息子アリ・ラフマニさん(17)と娘キアナさん(17)が代わりに出席した。
 獄中のモハンマディさんは「自由、平等、民主主義の欠如がもたらす、深く魂を砕かれそうな苦しみに耐えている」と告白。その上で「私たちは生きるための闘いの中にいる」と訴えた。
 イランでは昨年9月、髪を隠すヘジャブ(スカーフ)着用を巡り拘束された女性が死亡し、抗議デモが全土に広まった。「(当局による)女性への抑圧は激しさを増すが、私たちは従わない」と述べ、粘り強く抵抗を続けると表明した。
 モハンマディさんは03年に平和賞を受賞したイランの女性弁護士シリン・エバディさん(76)が率いる非政府組織(NGO)「人権擁護センター」の副代表。オスロでは11日、イランの人権状況をテーマに講演会が開かれ、エバディさんも登壇し、モハンマディさんへの授与は圧政に対する抵抗運動にとって「勝利に値する」と語った。