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香港 過去最低の投票率 区議会選 民主派排除、親中派独占


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 【香港共同】香港で10日、区議会(18区の地方議会)選挙の投開票が行われた。香港当局が7月、親中派に圧倒的優位な選挙制度に変更し、民主派政党が事実上、排除されたため、親中派が議席を独占。投票率は27・5%で、1982年に区議会が設立されて以来、過去最低だった。
 新制度に不満を持つ民主派支持層が投票しなかったことが影響した。反政府デモの盛り上がりを受け民主派が議席の約8割を獲得した2019年の区議会選の投票率は71・2%で、大幅に低下した。政府は投票率を上げようと関連イベントを行うなど躍起だった。
 政府トップの李家超行政長官は11日「建設的で市民のために成果を出すための区議会となることを望む」と述べ、新制度での選挙の正当性を強調した。李氏は10日に「(今回の選挙は)愛国者による香港統治の原則を実行に移す上で、パズルの最後のピースだ」と語り、民主派を一掃したことに自信を示した。
 新制度は全体で9割以上あった直接投票枠を2割以下の計88議席にまで削減した。他に行政長官が選ぶ委任枠(179)と、地区委員会などの委員に限定された投票枠(176)ができたが、いずれも親中派しか立候補できなかった。
 有権者は各区の直接投票枠(計88議席)の候補者に投票。親中派最大の政党、民主建港協進連盟(民建連)は41人、労働者の支持者が多い香港工会聯合会(工聯会)は18人、中所得者層の支持が多い新民党は5人の当選者を出した。民主派組織、社会民主連線(社民連)のメンバー3人が10日朝に李氏が訪れる投票所の前で、抗議活動を行う予定だったが、逮捕された。