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「化石燃料脱却」合意 COP28 初の進捗評価で成果


「化石燃料脱却」合意 COP28 初の進捗評価で成果 COP合意のポイント
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 【ドバイ共同=矢野雄介】国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は会期を1日延長した13日、パリ協定に沿って気温上昇を1・5度に収めるため「化石燃料からの脱却」などを進めるとした成果文書を採択した。石炭火力発電の段階的削減を打ち出した過去の合意から前進、対象を石油や天然ガスを含む化石燃料全体に広げた。再生可能エネルギーでも、2030年に世界の発電能力を3倍にするとの数値を締約国として初めて示した。

 会議の焦点だった対策の進捗(しんちょく)評価に関する文書に明記した。パリ協定に基づき初めて実施したこの評価の取り組みは一定の成果を上げた。各国は文書を踏まえて新たな排出削減目標をつくる。深刻な気候変動の被害を回避するのに必要な高い水準にできるかどうかが次の課題になる。

 成果文書は、今年が記録上最も暑い1年となることに深刻な懸念を表明した。現状では産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるパリ協定の目標は到底実現できないと強調。世界の温室効果ガス排出量を19年と比べ30年に43%減、35年に60%減と大幅に減らす必要があるとした。

 各国が取る具体策も挙げた。50年までに排出を実質ゼロにするため、エネルギーシステムの化石燃料からの脱却を20年代に加速するとした。石炭火力発電は、排出削減対策が講じられていない施設の「段階的削減に向けた努力を加速する」とした。多くの国が求めた「廃止」には至らなかった。

 日本は燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ないアンモニアなどを燃料に混ぜる技術も「対策」に当たると解釈し、石炭火力を今後も使う方針だ。

 成果文書は、原発や、CO2の回収・貯留技術などの活用も盛り込んだ。非効率的な化石燃料補助金の段階的廃止をできるだけ早く行うとした。