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米議会に直談判不発 ゼレンスキー氏 支援予算枯渇も


米議会に直談判不発 ゼレンスキー氏 支援予算枯渇も 米議会を訪問したウクライナのゼレンスキー大統領(中央)=12日、ワシントン(AP=共同)
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 【ワシントン共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、米国の対ウクライナ軍事支援予算の確保に向け米議会で直談判したが、共和党の一部の反対は揺るがず不発に終わった。
 抗戦の成否を左右する予算が年末にも枯渇する危機が迫る。バイデン大統領は同日、ホワイトハウスでゼレンスキー氏と会談し、支援継続に向け議会と交渉を進めると表明した。
 ゼレンスキー氏は、昨年12月にロシアの侵攻開始後、初めて訪米した際の歓待ムードとは一変した支援疲れに直面した。共和党の一部は米南部国境に押し寄せる不法移民をより重大な危機とみており、国境の警備強化策を取らない限り予算案に同意しないとの立場を崩さなかった。
 バイデン氏は共同記者会見で「ウクライナに背を向けることはない」と述べ、2億ドル(約290億円)の追加軍事支援を表明した。ロシアのプーチン大統領が支援停滞を見込んでいると指摘し、ウクライナ支援を含む緊急予算案の承認を議会に訴えた。
 ゼレンスキー氏は「ウクライナは勝利できる」と述べ、防空支援を改めて求めた。両氏の対面会談は9月21日以来。
 首脳会談に先立ち、共和党のジョンソン下院議長はゼレンスキー氏と約30分間会談した。記者団に「ウクライナを勝利に導く明確な戦略が必要だが、米政権の対応は不十分だ」と強調。不法移民対策を強化しようとしない政権へのいら立ちをにじませ、予算案を承認しない意向を表明した。
 上院共和党トップのマコネル院内総務も予算案をクリスマス休暇前に可決するのは事実上不可能だと指摘した。
 バイデン氏は予算確保のため譲歩の用意があると述べ、交渉に応じるよう促した。