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英移民対策、与党に亀裂 ルワンダ移送で首相苦境


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ロンドン共同】英下院で12日、不法入国した移民のルワンダへの強制移送に向けた法案の基本方針が可決された。スナク首相の肝いりの法案だが、与党保守党内の強硬右派の反発に直面し、スナク氏は採決直前まで説得に追われた。廃案に追い込まれることは回避されたが、党内の亀裂は深まる一方で、スナク氏は苦境に陥っている。
 法案ではルワンダを、移民を他国へ移送しない「安全な国」と定義。採決結果は賛成313票、反対269票だった。BBC放送によると、より厳しい内容に法案を修正するよう求めている与党の強硬右派37人は反対票を投じず棄権にとどめた。
 法案は2段階で審議され、今後、修正を巡る議論を経て最終採決に進む。棄権した強硬右派の議員によると、スナク氏は採決前「法案の厳格化を考える」と述べ、歩み寄りの姿勢を見せたという。この議員は、もし修正されなければ、次回採決で反対票を投じることも辞さないとくぎを刺す。
 一方、党内の穏健派は修正に反対しており、各派閥の対立が激化。スナク氏が党をまとめきれず、法案が否決されてルワンダ移送計画が頓挫すれば、同氏の求心力が低下するのは確実だ。