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EU ウクライナ加盟交渉へ 支援予算合意先送り 親ロのハンガリー決定左右


EU ウクライナ加盟交渉へ 支援予算合意先送り 親ロのハンガリー決定左右 欧州連合(EU)首脳会議の会場で立ち話をするハンガリーのオルバン首相(左から2人目)ら=14日、ベルギー・ブリュッセル(AP=共同)
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 【ブリュッセル共同=桜山崇】欧州連合(EU)は14日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、ロシアの侵攻を受けるウクライナの加盟交渉開始で合意し、同国の悲願実現へ道を開いた。全会一致の決定が求められる中、反対していたロシア寄りのオルバン・ハンガリー首相が退席し棄権。一方、500億ユーロ(約7兆8175億円)のウクライナ支援を含むEU予算の見直しはオルバン氏が反対を貫き合意できず、来年早期に再協議することになった。ミシェルEU大統領が明らかにした。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は加盟交渉開始決定について「ウクライナと全欧州にとって勝利だ」と歓迎した。ただ加盟交渉は通常10年程度かかるとされ、曲折は確実。支援の決定先送りも不安要素となりそうだ。

 報道によると、ドイツのショルツ首相が会議で加盟交渉開始に反対を続けたオルバン氏に棄権を促し、同氏は会議場から一時退出した。棄権による「全会一致」は極めて異例だ。オルバン氏は決定後、X(旧ツイッター)で「加盟交渉開始は誤った判断だ」と批判した。15日未明まで続いた会議初日の協議後には「ウクライナへの追加資金を拒否」と投稿した。

 ウクライナ支援は2021~27年のEU中期予算見直し案に盛り込まれている。ミシェル氏は15日、記者団に対し、ハンガリーを除く26カ国の賛成が得られたことを明らかにした。

 首脳会議では、ウクライナの隣国モルドバの加盟交渉開始も決めた。ジョージア(グルジア)については「加盟候補国」とすることで合意した。

 ウクライナは侵攻開始直後の昨年2月に加盟申請し、同6月に異例の速さで加盟候補国となった。EU欧州委員会は今年11月、条件付きで交渉を始めるよう加盟国に勧告した。