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仏、移民法が成立 欧州で厳格化の動き


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ブズール(フランス東部)共同】フランスの上院と国民議会(下院)は19日、不法移民の規制強化に向けた新たな法案を賛成多数で可決し、同法案は成立が決まった。法案は11日の下院で野党の左右両派の反対で審議されないまま否決されたが、移民への対応をより厳格化させる形で修正。マリーヌ・ルペン党首の極右政党、国民連合(RN)や右派が賛成に回り、一転可決となった。
 英下院で12日、不法入国した移民のルワンダへの強制移送に向けた法案の基本方針が可決されるなど、欧州では移民への対応を厳格化させる動きが強まっている。
 ルペン氏は「RNにとってイデオロギー上の勝利だ」とアピールした。ただフランスのルモンド紙によると、与党連合の議員27人が反対に回り、ルソー保健相が辞任した。RNが賛成したことで「極右と手を組むのか」との批判も強まっており、マクロン大統領の求心力が低下する恐れもある。
 マクロン政権肝いりの移民法案は不法移民の追放を容易にする一方で、労働力不足が深刻な分野で働く移民の居住許可を取得しやすくする内容。11日に下院で審議入りするはずだったが、環境政党が提出した法案の否決動議が左右両派の賛成で採択され、政権にとって大きな痛手となった。
 上下両院の議員代表で構成される委員会が妥協案を模索した。政権側は右派の支持を得るため、外国人への福祉給付金支給の条件厳格化などを盛り込むことで合意し、19日に上下両院それぞれで可決された。