有料

日本企業、再び賠償確定 徴用工訴訟で韓国最高裁


日本企業、再び賠償確定 徴用工訴訟で韓国最高裁 韓国最高裁の判決を受け、喜ぶ韓国人元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員の訴訟の原告遺族ら=21日、ソウル
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同】韓国最高裁は21日、植民地時代に強制労働させられたとして韓国人元徴用工が日本製鉄(旧新日鉄住金)、元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員らが三菱重工業にそれぞれ損害賠償を求めた訴訟2件の上告審で、両社の上告を棄却した。両社に計11億7千万ウォン(約1億3千万円)の賠償を命じた一、二審判決が確定した。
 元徴用工らによる戦後補償訴訟で最高裁が判断を下したのは2018年10~11月以来、約5年ぶり。
 18年判決は両社に賠償を命じ、日韓関係が急速に冷え込むきっかけとなった。両社は今回の判決について、1965年の日韓請求権協定で解決済みだとして「極めて遺憾」とそれぞれコメントした。
 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は対日関係を重視しており、韓国外務省報道官は政府傘下の財団に賠償を肩代わりさせる今年3月発表の解決策に基づき、原告らに賠償相当額を支払う方針を表明した。
 林芳正官房長官は21日の記者会見で「日韓請求権協定に違反するものであり、極めて遺憾だ」と述べ、韓国側に抗議したと明らかにした。
 21日に判決が言い渡されたのは、7人の元徴用工と4人の元挺身隊員らの2件の訴訟。2013~14年の提訴時は当事者10人が存命だったが、高齢のため全員亡くなり、遺族らが引き継いでいる。いずれも下級審で原告が勝訴し、1人当たり1億~1億5千万ウォンの支払いを日本企業に命じた。
 最高裁は、元徴用工らの慰謝料請求権は日韓請求権協定の適用対象外とした原審判決に誤りはないと指摘。同種訴訟で初めて確定判決が出た18年10月までに提訴した原告は慰謝料を請求できるとの初判断も示した。今後勝訴が確定する原告が増える見込みだ。18年に勝訴した原告の一部は日本企業の謝罪と賠償を求め、解決策の受け入れを拒否している。