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米中高官が国防対話 1年4カ月ぶり 偶発的衝突回避へ


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 【ワシントン、北京共同=比嘉杏里、福田公則】米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長は21日、中国軍の劉振立統合参謀部参謀長とテレビ電話で会談した。中国が昨年8月に米下院議長の台湾訪問への対抗措置として米中国防対話を中断して以来、1年4カ月ぶりに軍高官の正式な会談が実現した。米中両首脳が11月の会談で対話再開に合意していた。南シナ海などで米中両軍の緊張が高まっており、偶発的衝突の回避を狙った。
 米中両国は中国で解任された李尚福前国防相の後任が決まれば、オースティン国防長官との間で国防対話の枠組みである「ハイレベル対話」を再開する方針。米メディアは米軍高官らの話として、来年の早い時期に「防衛政策調整対話」、春には「軍事海洋協議協定」がそれぞれ再開する可能性があると伝えた。
 米軍統合参謀本部によると、会談でブラウン氏は米中関係を管理し、意思疎通を維持する重要性を強調。インド太平洋を管轄する米中両軍の司令官同士が連絡を取る必要性を訴えた。ブラウン氏が10月の就任後、劉氏と対話するのは初めて。
 中国国防省によると劉氏は両軍の交流を進めるべきだとしながら「安定した関係には米側が正しい対中認識を持つことが肝心だ」と注文を付けた。その上で「台湾問題への外部からの干渉は許されない」と主張。南シナ海を巡り「米国は中国の領土主権を尊重し、言動を慎むべきだ」と求めた。
 米国防総省のライダー報道官は21日の記者会見で「対話の窓口を維持するためにできることは何でもやる」と述べた。