冬の夜空の代表的な星座、オリオン座にある赤い1等星「ベテルギウス」が、手前を通過する小惑星で隠される「ベテルギウス食」が今月12日に起き、福岡市の会社員大月崇綱さん(59)がイタリアで撮影に成功した。専門家は「観測史上初めての現象。周期性はなく、今後見られる機会はほぼない。極めて大きな成果だ」と話す。
ベテルギウスは太陽のように自ら光を発する恒星で、質量は太陽の約20倍と巨大。「恒星食」に詳しい佐賀市星空学習館の早水勉副館長によると、ベルギーのアマチュア天文家が2022年、小惑星「レオーナ」によるベテルギウス食が今月12日に起きると報告した。
日本では観測できず、大月さんは撮影条件の良いイタリア西部のサルデーニャ島・カリャリに滞在して現地時間の12日午前2時14分ごろ、ベテルギウス食の動画を撮影。映像では、「食」が起きた約10秒間に星の光が小さくなり、再び元に戻る様子が観察できる。
早水さんによると、レオーナはベテルギウスの前を東から西に通過。映像からは通過の際、暗くなりきらずに2等級ほど光が減ったことが確認でき、皆既日食のように恒星が完全に隠されるのではなく、縁が隠されない金環食のような状態となったとみられる。光の減り具合などから、これまで詳細が不明だったベテルギウスの形や大きさなどが明らかになる可能性があるという。
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ベテルギウス食 撮影成功 史上初で最後? 天体ショー
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琉球新報朝刊
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