米主導の国際月探査「アルテミス計画」で、日米両政府が日本人の宇宙飛行士も月面着陸させる方向で最終調整していることが24日、関係者への取材で分かった。少なくとも1人は確実な情勢で、2人目についても調整を続けている。早ければ来月に合意する見通し。
同計画では2025年以降、米国の飛行士2人がアポロ計画以来約半世紀ぶりに月面に降り立つことを目指しており、日本は2カ国目となる可能性がある。
ハリス米副大統領が20日、大統領への助言機関である国家宇宙会議で、20年代のうちに米国以外の飛行士も月面着陸させる方針を表明。22日には岸田文雄首相が政府の宇宙開発戦略本部会合で日米の交渉加速を確認していた。
日本は月周回基地「ゲートウエー」の建設に参加するほか、物資輸送を担ったり、宇宙服を脱いで運転できる月面探査車を開発したりする予定。こうした貢献に対する見返りとして、20年代後半に月面への切符を手に入れることを目指していた。月周回基地で日本人飛行士が活動することは22年に決まっていた。
アルテミス計画は月での長期滞在を通じて経験を蓄積し、将来の火星探査につなげるのが目標。第1弾として昨年、新宇宙船オリオンを無人で月と往復させることに成功した。現在の予定では24年11月に米国とカナダの計4人が月上空まで飛行。25年末には米スペースXが開発する着陸船で月面に向かい、約1週間滞在する。
その後は拠点となる月周回基地を建設し、28年以降はほぼ毎年のように月面を探査する予定。ただ着陸船の開発遅れから、計画は変更される可能性も指摘されている。
<用語>アルテミス計画
1969~72年に12人の飛行士を月面着陸させたアポロ計画に続く有人月探査計画。米国主導で日本や欧州などが参加。月を周回する宇宙基地「ゲートウエー」を建設し、月面に物資を運んで滞在拠点などを展開、人類の月での持続的な活動を目指す。女性と非白人の飛行士を初めて送り込む。月を足掛かりに、2040年には火星の有人探査を実現させる狙いもある。アルテミスはギリシャ神話に登場する月の女神で、太陽の神アポロンとは双子。
(共同通信)