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日立造船、初の賠償確定/韓国徴用工訴訟、三菱重も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同】韓国最高裁は28日、日本統治期に強制労働させられたとして、元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員らが三菱重工業と日立造船に損害賠償を求めた訴訟3件の上告審で、両社の上告をいずれも棄却した。両社の賠償額が計約14億3千万ウォン(約1億6千万円)に上る一、二審判決が確定した。同種訴訟では、三菱重工と日本製鉄に賠償を命じる判決が確定済みだったが、日立造船への確定判決は初めて。
 韓国外務省は新たに勝訴が確定した原告についても、3月発表の解決策に基づき政府傘下の財団が賠償を肩代わりする方式を取る考えを示した。
 日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場だが、最高裁は元徴用工らの慰謝料請求権は協定の適用対象外だと改めて指摘。日本外務省の鯰博行アジア大洋州局長は在日韓国大使館の次席公使を呼び「断じて受け入れられない」と抗議した。
 28日の判決言い渡しは、広島に動員された元徴用工らと名古屋の軍需工場で働いた元挺身隊員らが三菱重工にそれぞれ損害賠償を求めた2件と、大阪に動員された元徴用工が日立造船を訴えた1件。
 最高裁は、同種訴訟で2018年10月に初めて原告勝訴の確定判決が出るまで、元徴用工らは日本企業に請求する権利を事実上行使できなかったとし、請求権の消滅時効が成立したとの企業側主張を認めない判断も改めて示した。
 挺身隊員として働いていた1944年に東南海地震で亡くなった女性の親戚で原告の李敬子(イギョンジャ)さん(80)は判決後「三菱は早期に賠償し、謝罪してほしい」と訴えた。