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日立供託金 受領請求へ/元徴用工訴訟、韓国原告側


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同】韓国最高裁で28日に原告勝訴が確定した日立造船を相手取った元徴用工訴訟で、原告側弁護士が29日、日立造船が資産の差し押さえなどの強制執行を防ぐために裁判所に預けていた供託金の受領請求手続きに来週にも入ると明らかにした。認められれば、一連の元徴用工訴訟で敗訴した被告企業の資金が間接的とはいえ原告側に渡る初めての事例となる。
 ただ聯合ニュースは、日立造船側が供託金の返還を訴えるなどの方法で対抗できる可能性があると報じた。日立造船は28日、最高裁判決について「日韓請求権協定およびこれに関する日本政府の見解、ならびに当社主張に反するものであり極めて遺憾です」とのコメントを発表している。元徴用工訴訟を巡って裁判所に供託金を預けているのは同社だけだという。
 同訴訟は1944年に大阪の造船所へ動員された元徴用工1人が原告で、日立造船は慰謝料5千万ウォン(約540万円)と遅延損害金の支払いを命じられた。原告側弁護士によると、日立造船は二審判決後の19年、6千万ウォンを裁判所へ供託した。
 遅延損害金を含めると供託金の6千万ウォンでは足りない。韓国政府は傘下の財団が賠償金支払いを肩代わりさせる解決策を発表しており、原告側弁護士は、不足分は財団から受け取りたいと述べた。
 元徴用工訴訟では、これまでに計8件の原告勝訴が確定している。