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中国国防相に董氏/海軍出身/空席2カ月、立て直し


中国国防相に董氏/海軍出身/空席2カ月、立て直し 董軍氏
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 【北京共同】中国全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の会議は29日、国防相に董軍・前海軍司令官を充てる人事を決め、閉幕した。董氏は同日、習近平国家主席の任命を受け就任した。国営メディアが伝えた。3期目の習指導部は外交・軍事の担当閣僚が次々と動静不明となる異例の事態で政権運営が安定せず、人事刷新で立て直しを図る。李尚福前国防相が解任された後、軍事外交の顔役である国防相は2カ月にわたり空席が続いていた。
 米中両国は董氏とオースティン米国防長官との間で国防対話の枠組みの一つである「ハイレベル対話」を行う方針。台湾や南シナ海を巡り緊張が高まる中、調整を急ぐ。
 董氏は海軍出身。東海艦隊副司令官や南部戦区副司令官を歴任し、2021年から海軍司令官を務めた。今月25日の国営メディアの報道で司令官から外れたことが判明していた。
 中国軍は核ミサイル部隊を管轄するロケット軍で汚職疑惑が取り沙汰されている。兵器や装備品の開発・管理を取り仕切る軍装備発展部長を務めた李前国防相も疑惑を巡り当局の調査を受けているとの観測がある。
 今月27日には国政助言機関、人民政治協商会議(政協)が中国航天科技集団の呉燕生会長ら軍需関連企業の幹部3人の政協委員資格を取り消すと決定。汚職疑惑に巻き込まれた可能性がある。ロケット軍では7月に司令官と政治委員が同時に交代する人事が行われた。
 今年3月に就任した李前国防相は8月ごろに動静不明となり、10月に解任された。昨年12月に就任した秦剛前外相は今年6月ごろに消息を絶ち、7月に解任された。いずれも解任理由は公表されていない。