有料

ロ軍最大空爆 死者39人 ウクライナ ポーランド領空通過か


ロ軍最大空爆 死者39人 ウクライナ ポーランド領空通過か ロシア軍のミサイル攻撃により破壊された住宅=29日、ウクライナ南部オデッサ(ロイター=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【キーウ、ロンドン共同=小玉原一郎、飯沼賢一】ウクライナの英字紙キーウ・インディペンデントは30日、ロシアによる29日の全土一斉攻撃の死者が39人になったと報じた。負傷者は160人を超えた。ウクライナ当局によると、昨年2月の開戦後、最大規模の空爆。ロシアのミサイルが一時、ウクライナの隣国ポーランドの領空を通過した可能性があり、ポーランド外務省は29日、ロシアの臨時代理大使を呼び出したと発表した。
 産科病院や住宅、学校、商業施設、倉庫などが攻撃され、首都キーウ(キエフ)では16人の死亡が確認された。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、NATOは加盟国が攻撃を受けた場合、武力行使を含む必要な行動を直ちに取ると規定する。ロイター通信によると、ミサイルは領空を3分近く飛んだ後、ウクライナ側に戻ったとみられる。
 国連安全保障理事会は29日、今回の一斉攻撃を受けて緊急公開会合を開き、日本や欧米は民間施設を標的にしたとしてロシアを非難した。
 ウクライナ空軍によると、29日は158の攻撃があり、72%に当たる114を迎撃した。ゼレンスキー大統領は29日、防空態勢を強化すると表明。戦況が膠着(こうちゃく)し欧米の支援の先細りが懸念される中「世界がテロに対抗することが重要だ」と述べ、各国に行動を求めた。
 バイデン米大統領は29日の声明で、ウクライナを消し去るというプーチン大統領の目標は変わっていないとし「食い止めなければならない」と訴えた。英国はウクライナに地上発射型の防空ミサイル約200発を追加供与する。
 ウクライナ空軍によると、ロシア軍は無人機36機を使って攻撃を始めた。29日朝には18機の長距離戦略爆撃機ツポレフ95が少なくとも90発の巡航ミサイルを発射。その後もさまざまなミサイルで波状攻撃を仕掛けた。
ロシア軍のミサイル攻撃により破壊された住宅=29日、ウクライナ南部オデッサ(ロイター=共同)