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「核の傘」に頼る 現実路線に評価


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 佐藤栄作に関する著書がある駒沢大・村井良太教授(日本政治外交史)の話 受賞後に核持ち込みに関する密約の存在が明らかになった佐藤に限らず、ノーベル平和賞授賞が事後に論争を呼ぶことは多い。授賞決定時点で委員会側が佐藤に対する批判を理解しつつ、それを上回る評価をしていたことが今回の記録で判明し、意義深い。アジア初受賞は平和賞の「グローバル化」としても意味があった。経済大国となった日本の軍事大国化や核武装が懸念されていた時代に、米国の「核の傘」に頼るという現実的な選択をして平和国家を希求した佐藤や日本の姿勢に対する期待の表れだと言える。非核三原則を提唱した佐藤が日本の核武装を阻止したとする委員会の評価は興味深いが、核不拡散政策の他国への広がりなどに関する歴史的評価はいまだに難しい。