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核巡る矛盾相次ぎ指摘 平和賞授与「最大の誤り」


核巡る矛盾相次ぎ指摘 平和賞授与「最大の誤り」 佐藤栄作元首相の主な歩み
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【オスロ共同】佐藤栄作元首相へのノーベル平和賞授与は、日本だけでなく米国や平和賞のお膝元ノルウェーでも大きな物議を醸した。日本政府の売り込みや非核三原則に否定的な発言、核密約―。受賞理由と矛盾する姿勢が相次いで指摘され、「佐藤を選んだことはノーベル賞委員会が犯した最大の誤り」(ノルウェーの歴史家)などと批判の声は根強い。
 「不信、冷笑、怒り」。平和賞創設100年を記念したノーベル賞委員会の刊行本は当時の日本世論をこう記した。1974年の授与発表当日、AP通信は「この年は受賞者なしと一般に考えられていた」として、結果が「驚き」だと報じた。
 受賞に向けて奔走したのは、佐藤と親交があり建設大手鹿島で会長を務めた鹿島守之助や加瀬俊一・元国連大使だった。当時の首相田中角栄らも推薦し、加瀬は委員会に直談判までした。米メディアによると売り込みは14カ月にわたった。
 受賞理由は核拡散防止条約(NPT)署名や非核三原則提唱だったが、米紙ワシントン・ポストは委員会が売り込みにだまされたと批判。佐藤が69年の駐日米大使との会談で「三原則はナンセンス」と明言したことが後の米公文書公開で明らかになり、米側と沖縄への核持ち込みを認める密約を結んでいたことも判明した。