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国葬名簿黒塗り「妥当」 政府、行政不服審査に主張


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 安倍晋三元首相の国葬の招待者名簿を巡り、共同通信が求めた黒塗り箇所の開示申請に対し内閣府は5日までに、「棄却すべきだ」との理由説明書を添えて第三者機関に諮問した。共同通信は情報公開請求で示された名簿の74%が黒塗りだったため、行政不服審査制度に基づき昨夏改めて審査を請求していた。内閣府は、開示すれば業務に支障を来すとし、黒塗りを「妥当だ」と主張した。
 安倍氏国葬の経費約12億円は国が全額支出した。事業の公益性、公金使途の透明性を担保する観点で疑念を招きそうだ。
 政府は一昨年9月に営まれた安倍氏国葬の案内状を6175人に送付した。情報公開請求で入手した名簿は4626人の氏名が黒塗りだった。区分別に見ると、著名人を含め安倍氏と交流があった「遺族・遺族関係者」は96%に当たる1132人分が黒塗り。「元国会議員」は1104人の氏名全てが隠されていた。
 内閣府は理由を「同じ属性にありながら推薦されなかった者が明らかになる」「業務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある」などと説明した。
 共同通信は、この理由の妥当性に疑義があるとして昨年8月、行政不服審査制度を活用して再度、開示審査を求めた。
 請求の際、安倍氏国葬は終了しているので業務に支障との説明は成り立たないと指摘したところ、内閣府は第三者機関への理由説明書の中で「国葬に限らず政府の式典の機会は今後もある」と、支障の可能性を挙げた。