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死刑制度 総統選争点に 台湾 野党は存続、与党消極的


死刑制度 総統選争点に 台湾 野党は存続、与党消極的 (左から)台湾民衆党の柯文哲氏、民主進歩党の頼清徳氏、国民党の侯友宜氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【台北共同】13日に実施される台湾総統選では死刑制度の是非も争点の一つだ。最近4年弱は死刑執行がなく、与党、民主進歩党(民進党)は死刑制度に消極的との見方が上がる。世論調査によると約8割が死刑制度を支持。最大野党、国民党の候補、侯友宜・新北市長は積極的に制度存続を訴えて追い上げを図っている。
 侯氏は「死刑制度の廃止には反対だ。法律に定められた通りに執行すべきだ」と強調する。一方、民進党候補の頼清徳副総統は「総統が廃止するかどうかを決める問題ではない」と正面から見解を示さず、歯切れの悪さが目立つ。
 民進党は党綱領に「死刑廃止の可能性を研究・議論する」と明記。一方で台湾社会では死刑には凶悪犯罪の抑止効果があると幅広く考えられているため、死刑制度支持が圧倒的だ。板挟みになった形の頼氏は社会全体での議論を求めた上で「私は比較的に開放的な立場だ」と廃止意見に配慮を示しつつも、廃止を明確に打ち出していない。
 侯氏は民進党の党綱領と頼氏のあいまいな立場に矛盾があるとして「リーダーとしてはっきりと説明すべきだ」と非難、頼氏の総統としての資質に問題があると追及している。
 侯氏は警察官出身。多くの重要事件を解決し、警察組織トップまで上り詰めた。死刑制度存続を訴えることで、無党派層を含む多くの有権者の信頼を得たいとの思惑があるとみられる。
 第2野党、台湾民衆党の柯文哲・前台北市長は「(死刑制度存続を求める台湾の)政治文化を尊重する」とした。