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ウクライナ、報復示唆 ロのミサイル攻撃受け


ウクライナ、報復示唆 ロのミサイル攻撃受け ロシアのミサイル攻撃で損傷した教育施設=8日、ウクライナ東部ハリコフ(ゲッティ=共同)
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 【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は8日のビデオ声明で、各地にこの日あったロシア軍によるミサイル攻撃を受け「テロ国家はわれわれの返答を知るだろう」と述べ、報復を示唆した。地元メディアは9日、攻撃の死者が5人になったと伝えた。負傷者は45人。ロシア、ウクライナ双方の攻撃は昨年末以降、激化しており、報復の連鎖が懸念される。
 ロシア国防省は9日、西部クルスク、オリョール両州上空で無人機計6機を撃墜したと発表。クルスク州のスタロボイト知事によると、落下した破片で女性1人が死亡した。
 8日のウクライナ東部ハリコフ州や南部ザポロジエ州、西部フメリニツキー州などへの攻撃では、ミサイル計51発のうち迎撃に成功したのは35%に当たる18発だった。
 中でも弾道ミサイル「イスカンデル」6発のほか、極超音速ミサイル「キンジャル」4発は全て迎撃できず、地方の防空態勢の脆弱(ぜいじゃく)さを露呈した。
 高速で標的に落下する弾道ミサイルやマッハ10で飛ぶキンジャルの迎撃は難しく、ウクライナ空軍のイグナット報道官は8日「(米開発の地対空ミサイル)パトリオットのようなシステムでしか、弾道ミサイルを迎撃できない」と指摘した。
 ウクライナ配備のパトリオットは数基とされ、首都キーウ(キエフ)周辺を重点的に防衛している。ポドリャク大統領府長官顧問は昨年7月、英紙ガーディアンに「全土をカバーするには、10~12基のパトリオットが必要だ」と述べていた。
 米国では野党共和党の抵抗でウクライナ支援予算の承認が滞り、米政府からは「パトリオットをウクライナに供与できなくなる」(ホワイトハウス高官)との懸念が出ている。